第24章 【ネコトイヌ】
「小宮山ー、待ってたよーん♪」
重い足取りで登校し、外倉庫の鍵を開けたところで突然後ろから抱きついてきた英二くんが、私の耳元でそう嬉しそうに言うから、英二くんっ!?って驚いて視線だけ彼に向ける。
「もしかして寝不足ー?すげー隈!」
「わ、わかってるから見ないでください!」
そう私の顔をのぞき込む英二くんにそんな顔を見られたくなくて、慌てて両手で顔を覆うと、さては寝ないで期末の勉強だなー?そう彼がおどけたように笑う。
英二くんのテニスのDVDを見たせいで寝不足だなんてとても言えなくて、違います、ちょっと……って言葉を濁すと、んじゃオレのこと考えて眠れなかったとか?そう言って彼は私の手を顔から引き離す。
本当のことを言い当てられて、真っ赤な顔で目を泳がせると、図星~♪そう言って英二くんはニイッと笑った。
あのっ、みんな来ちゃいますからっ!そう慌てて訴えると、うんうん、わかってるーって英二くんは倉庫の扉を開けると、そのまま中へと雪崩れ込む。
わかってない!全然、わかってないです!!そう私の身体を押し倒す英二くんを見上ると、なーんか、あん時を思い出すよにゃ?そう言って英二くんはニヤリと笑った。
そんなこと今、思い出されても……それにあれは体育館倉庫で……そう言ってセーラーの裾に手を滑り込ませ、私の胸に手を伸ばす英二くんに必死に抵抗するんだけど、誰か来たらすぐやめるからさ?ってキスされちゃうと、気持ちよくてもう何も言えなくなってしまう。
私のこう言う、すぐに流されちゃうところって本当にダメだと思う、そう自己嫌悪しながらも、本当にもう人来ちゃいますからね?そうため息をついて彼に身を任せる。
すると英二くんは、セーラーのリボンを口で咥えてニヤリと笑うと、そのままクイッと引いてリボンを解く。
そんな彼の仕草にゾクゾクしてしまい、ドキドキと胸が高鳴って、恥ずかしくてギュッと瞳を閉じると、そんな私の襟元に英二くんはチュッと甘い痛みを落とした。