第23章 【エイジトテニス】
「すみません、練習の邪魔してしまいましたか?」
不二の登場にそう小宮山は少し戸惑いながら答える。
そんなこと無いよ、と不二は相変わらず爽やかな笑顔で、ポケットに手を入れながらその隣に立った。
「あの……何か?」
つうか小宮山、不二が隣に立ってんだから、何か?じゃないよ、もう少し嬉しそうにすりゃいいのにさ、普通の女子なら顔真っ赤にして喜ぶところじゃん?
そう隣に立つ不二に戸惑っている小宮山を見ながら、ま、小宮山、普通じゃない女子だかんね、そう思わず苦笑いすると、不二もその小宮山の反応に少し困ったように笑った。
「小宮山さん、英二がテニスをやっているところ、見たい?」
突然そんなことを言い出した不二に、思わずピクッと身体が反応する。
何言ってんだよ……?そう不二を木の上から睨みつけるも、小宮山のソワソワした様子に、ま、そんくらい別にいいけどね、そうため息を落とす。
「えっと……見るって……?」
「貸してあげるよ?乾のデータDVD」
そう言って部室のドアを開けて、どうぞ?と不二は小宮山を招き入れ、少し戸惑った小宮山はその後に続いて部室に入っていく。
密室で小宮山と2人ってオレなら速攻やっちゃうね、あいつ、ほーんと、警戒心なさ過ぎー、子供の頃、お菓子あげるって言われても着いてっちゃダメって教わんなかったのかよ?
そう2人の入っていった部室を眺めながら、やれやれと苦笑いをして首を横に振る。
オレに襲われたことも、屋上で不二の演技に本気で震えてたことも全然反省してないのかよ?
学習能力高いんだか低いんだかわっかんねー。
ま、別に2人が何したっていいんだけどさ、不二が余計なこと言い出さないかが気になんだよね、そう思ってよっと木から飛び降りると窓の下へと移動した。