第21章 【カワッタコト】
「小宮山さん、頭、大丈夫ー?」
そう微妙な聞き方のクラスメイトの声に、はい、恐らく問題ないと思います、そう淡々と答えると、またしてもクラスのみんなから笑われる。
隣でなんでもない顔をしてヘラヘラ笑っている英二くんに、内心、全部あなたのせいでしょう?そう思いながら、最後にもう一つ、そう私が会を再開する。
「来週の月曜日から3日間は体育祭の練習になります。うちのクラスは朝の時間帯に決まりましたので、グラウンドに7時半まで集合してください」
すると、ええーっと不満の声が上がる。
ほら、私が言うとこうなんだよね……でも大丈夫、英二くんが納めてくれるから、なんて思った私は思わず顔をひきつらせる。
なぜなら、その英二くん本人が一番大きな声で不満を口にしていたからだ。
「ええー!何でだよー、オレ、やだかんな、朝練なんて、絶対やんないもんね!なんで昼休みか放課後じゃないんだよー!」
そう全力で訴える英二くんに釣られ、先程までは何も言っていなかった他の生徒まで、そーだそーだ!と言い出して、もうクラス一丸となって大ブーイングが沸き起こる。
本当、凄い団結力、そうある意味感心しながらも、この状況をおさめるのが面倒で、フーッとため息をついた。
「イヤでもなんでも、もう決まったことですから」
「なんだとー、だったらオレ、体育祭なんか出ないもんね!自由参加なんだからさっ!」
そうムキになって頬を膨らませる英二くんに、なに?その子どもみたいな開き直り、そう呆れつつも、教卓の下で手をつないだままこんなやりとりをしているこの状況に、おもわず笑ってしまいそうになり慌てて顔を引き締めた。