第21章 【カワッタコト】
ダメ、恥ずかしすぎて絶対顔が赤くなってる!!
慌ててわざとペンを足元に落とし、すみません、そう言ってしゃがんで教卓の下に潜り込み、それから必死に深呼吸をして、平静を取り戻そうと試みる。
それでもしっかりと握られた手は離れることはなくて、どうして?って英二くんを見上げると、目があった彼がニヤリと笑った。
「小宮山さん、ペン、見つかった?」
視線を合わせたままの英二くんが、突然そう言い出すから、えっ?ペンならもうって思ったその瞬間、あ、ここにあるよん、そう言って英二くんの顔が近づいてくる。
___え?
その瞬間、私の唇にフワッと英二くんの唇が重なって、それからゆっくりと離れた。
あ、う、え?そう慌てて口を押さえて後ろに仰け反ったものだから、ガツンと教卓の内側に頭をぶつけて、キャッと悲鳴を上げると教室が爆笑に包まれる。
英二くんったら、何てことするの!!
こんなみんなの前で、いくら見えないからって!!
そう口をパクパクさせると、もう一度ニヤリと笑った彼は、小宮山さん、頭おさえてもがいてるから、みんなちょっと待ってねー、そう楽しそうな顔をして前を向いた。
英二くん、コレは新手のイジワルですか?そう教卓の下から彼の顔を見上げ、彼の手を強く握りしめる。
ああ、もう!こうなったら少しくらい赤い顔してたって、みんなに笑われたからだって思われるから平気だもの、そう顔を引き締めると背筋を伸ばして立ち上がる。
その際、英二くんは繋がれた手を引きあげ、私が立ち上がるのを助けてくれて、そんな彼の気遣いを凄く嬉しく思った。