第21章 【カワッタコト】
「んで、小宮山さんは、何に参加するー?」
後は小宮山さんだけだよん?そう笑顔で言う英二くんに、自由参加の体育祭に参加しようなんて考えもしていなかったから、思わずキョトンとしてしまう。
私は不参加で……そう言い終わらないうちに、何言ってんの!?委員自らんなこと言っちゃダメじゃん!そう英二くんが声を上げる。
「こう言うときは楽しまなきゃ!同じアホなら踊らにゃ、損、損!」
そう下からのぞき込むように私の顔を指差して言う英二くんに、私、多分アホじゃないし、踊らないし……なんて思いながら、言い出したらきかないしってため息をつくと、黒板に書いた競技を眺める。
こうして改めてみると、私に言うだけあって英二くんは沢山の競技に参加していて、さすがだなって思いながらどの競技にするか考える。
出来るだけ目立たず疲れない競技といったら……やっぱりこれだよね、そう思って玉入れに名前を書き足すと、やっぱりね、そう英二くんは苦笑いした。
「あとは何か話しておくこと、あったっけ?」
そう言う英二くんに、あとは……そう確認のため教卓に移動してその上のノートを覗き込むと、一瞬だけ教卓の下で英二くんと私の手が触れ合って心臓がドキンとなる。
するとすかさずその手を英二くんが握り締めてきたから、え、英二くん?そう思わず彼を見そうになって必死にそれを我慢する。
どうして?だってこんなこと、どうしたらよいか分からなくなるよ……
そう戸惑いながらも、教卓の下でつながれた手が温かくて、もう心臓が止まってしまうんじゃないかと思う程ドキドキして、みんなの前で平気な顔をするのに苦労した。