第4章 【オソレトフアン】
「璃音、どうしたの?そろそろ時間よ?」
あれからどのくらい時間がたっただろうか?
いつもの時間になっても部屋から出てこない私を不思議に思ったのか、お母さんが部屋を訪れる。
「あら……寝ているの……?」
布団の中から顔だけ出してお母さんを見上げると、お母さんは心配そうに具合悪い?と私のおでこに手を添える。
「熱はないみたいだけど……でも顔が赤いわね……?」
どうする?お休みする?そう言うお母さんに、ううん、大丈夫、そう答え起き上がる。
本当は休みたい。
どんな顔して菊丸くんと同じ教室にいればいいのかわからない。
うっかり間近で顔をあわせちゃったら、冷静でいられる自信がないし……
でも……お母さんに心配かけるわけにいかないもん……
それに今日はLHRで決めないといけないことがある。
学級委員の私が休むわけにはいかないもの……
そう気持ちを切り替えて、お母さんに着替えていくねと無理に作った笑顔を向けた。
本当、私って損な性格だな……そう思って深いため息をついた。