第4章 【オソレトフアン】
色々なことが一気に起こりすぎて、頭が混乱して何がなにやらわからない。
大きく深呼吸して一つ一つ気持ちを整理して考える。
不思議なことに彼女がいたことは、そりゃそうだよねって素直に納得できている。
もちろん、行為を目撃してしまったことはショックだけど……
最後に目があったときのニヤリと笑った彼の歪んだ笑顔を思い出す。
思わずブルッと大きく身震いし、自分の身体を両手で抱きしめる。
彼のあんな顔、見たことない……
先程の彼の笑顔といったら、その瞳は突き刺すような鋭さで、斜めに上がった口元は何処か歪んで見えて、普段の彼からは想像できない怖い笑顔で……
それは思いを寄せる彼に彼女がいたこととか、そう言う行為を目撃してしまったことより、遥かに衝撃的なもので……
「やめて、思い出したくない!」
脳内で何度も繰り返すその歪んだ笑顔を必死に追い払おうと、頭から布団をかぶってそう叫んだ。
そんな私をネコ丸が不思議そうに見ていた。