第19章 【フジトエイジ】
「せめて小宮山さんと関係を続けている間くらい、他のオトモダチと会うのはやめたら?」
そう言う言葉に、思わずへ?って顔をして不二を見ると、まるでそれが当然だろ?とでも言うような顔でオレを見ていて、考えもしなかったその質問に、んー……っと少し考える。
「不二だってさ、しょっちゅう高級料理ばっか食ってたら、たまにはジャンクフードとかB級グルメも食べたくなんじゃん?」
そう苦笑いをして言うオレに、一瞬、意味が分からないと言うような顔をした不二が、眉間にしわを寄せたと思ったら、本当に最低なやつだな、キミは、そう言ってふーっとため息をついた。
「そんなに小宮山のことが心配ならさ、不二が小宮山の気持ちを変えて、付き合ってやればいーじゃん?」
そう足元に視線を落としながら不二にそう提案すると、不二は目を見開いて驚いた顔をする。
あいつ、あれで夢見る乙女だからさ、白馬に乗った王子様が、自分を洗脳する悪い魔法使いから救い出してくれんの、心のどっかで待ってるかもよん?、そう言って空を仰ぎ呟く。
小宮山の家でみた女の子らしい部屋やグリム童話を思い出し、不二ならぴったりじゃん?白馬の王子様、そう空を見たまま呟いて笑った。
不二だって満更でもないんだろうしさ、そうすりゃいいんだよ……オレみたいな悪い魔法使いはさ、サッサと退治されて封印されちまえっての……
「オレ、いくらなんでも親友の彼女に手だしたりしないしさ、不二が小宮山とつき合えばカンペキパーペキ、パーフェクトってね?」
小宮山、助けたいんだろ?そう俯いて笑うと、……僕が助けたいのは、英二、キミの方だよ?そう不二はオレを真っ直ぐに見て言う。
……不二、いっとくけどさ、オレ、そう言う趣味ないから、そうオレが顔をひきつらせながら言うと、僕だってないよ?そう言って不二はクスクス笑った。
ったく、不二のやつ、ほーんと、なに考えてるかわっかんねー、そう頭の上で腕を組んでもう一度空を仰いだ。