第19章 【フジトエイジ】
ふと時計をみるともう直ぐ昼休みが終わる時間を告げていた。
とにかくそういうことだから、オレと小宮山の話はコレで終わりだかんね、そう言って教室に戻ろうとすると、英二、最後にもう一つだけいいかな?そう不二が笑顔で呼び止める。
「さっき、小宮山さんの首に朝にはなかった、真新しいキスマークを見つけたけど……まさかあの後、ヤった?」
そういってどす黒いオーラを発する不二に、ギクッと身体を震わせ振り返り、精一杯の笑顔をひきつらせながらフルフルと何度も顔を横に振る。
あの時、僕がどれだけきつかったか……男なら分かるよね?そう言う不二に、今度はコクコクと何度も縦に頷く。
まさかとは思うけど、もしヤっていたら……そのときはどうなるか分かるよね?そう言って笑う不二に、もう一度コクコクと引きつった笑顔で頷き続ける。
コレはマジでやべー……そう笑顔で誤魔化しながら内心焦っていると、英二、そう不二があの鋭いまなざしでオレの目をまっすぐに見つめてくる。
コレは目をそらしたら終わりじゃん?そう思いながらも、そんな不二の視線が痛すぎて、思わずそろーっと視線をそらしてしまい、そんなオレを見た不二は黙ってにっこりと笑った。
「さ、そろそろ教室に戻ろうか」
屋上のドアを開けながらそう言う不二に、助かった?なんてホッとしてその後に続こうとした瞬間、英二はあっち、そう屋上の金網の向こうを指差して不二が笑う。
へ?って顔をして不二を見ると、英二ならきっと跳べるよ?そう言って不二はクスクスと笑った。
不二、ほんとにゴメンってー!!、屋上にはもう一度オレの謝る声が響き渡った。