第19章 【フジトエイジ】
「それから、不二くん、あの……今朝と、前の放課後のこと……本当に申し訳ありませんでした」
そう小宮山は真っ赤な顔をして深々と不二に頭を下げると、不二は目を見開いて、小宮山さん、頭を上げてと動揺しながら言った。
「私、不二くんの気持ちを無視して自分のことばっかりで……英二くんに嫌われたくないからってあんなことして……考えたら彼女さんがいたらその方にも申し訳ないなって……本当にごめんなさい」
そう言う小宮山に、不二は大丈夫だよ、そう優しく微笑んで答える。
「僕は男だからね、ラッキーなんて思ってるくらいだよ、彼女も今はいないし気にしないで?」
そんな不二を見上げながら、良かった、そう小宮山は少し安心した顔をして、どうしても直接謝らなきゃって思って、ホッとしました、そう言ってぺこりと頭を下げる。
それから、それじゃ、英二くん、先に行ってますね、そうオレに笑顔を見せて屋上を後にする。
あっ、とドアをでる際に振りかえり、不二くん、本当に英二くんを責めないで下さいね?そうもう一度不二に念を押し、失礼します、そう言って校舎に入っていった。
小宮山が確実に階段を降りていくのを確認した不二は、小宮山さん、本当に英二が好きなんだね、そう呟くから、な、頭良い癖にバカじゃん?そう言って苦笑いする。
「彼女、英二の前では随分柔らかい雰囲気なんだね」
「あー……最近、よく笑うようになったよん」
エッチの間はタメ口になるしね、そうウインクして答えると、そこまで聞いてないよ、そう不二が呆れた顔で答えるから、ペロッと舌を出す。
不二の横に移動し、入り口の壁にもたれながら座り込んで空を仰ぐ。
「今回は小宮山さんに免じて許すとするよ」
そう言う不二に、サンキュ、そう空を見たまま小さい声で呟いた。