第115章 【ミライへ・・・】
「あーん、英二ぃ・・・私がいるのになんで結婚しちゃったの!」
「マジであの女ムカつく、一生恨んでやる!」
そんな英二くんのパネルの前に並ぶ女の子たちの恨み節に、これバレたら私、生きて帰れないかも・・・なんて帽子を目深にかぶり直した。
「あの、進みましたよ?」
「あ、は、はい!すみません・・・」
さっさと写真撮ってさっさと帰ろう・・・
あ、もちろん、CDは買って帰るけど・・・
そう思いながら前に続いて進むと、・・・小宮山先輩?そう後ろから名前を呼ばれる。
驚いて振り返ると、そこにいたのはなんと鳴海さんで、ああ、もう菊丸先輩ですね、なんて言われて、慌てて鳴海さんの口を抑えて列を放れる。
「ちょっと、何するんですか!せっかく並んだのに!」
「あ、ごめんなさい、つい・・・って、鳴海さんがこんな場所で今の苗字を呼ぶからじゃないですか!」
「あぁ、バレたら先輩、袋叩きにあうでしょうね・・・バレればいいのに・・・」
随分な事を言われているけれど、まぁ、もちろん本気ではないと仮定して、でもバレたら不味いことは分かっていて言ったのね、そう思って苦笑いをした。
「でも、先輩がどうして来てるんですか?本物が家にいるんですから、わざわざパネルなんか見に来なくても良いでしょうに・・・」
「いや、それとこれとは別物じゃないですか!パネルの英二くんもかっこいいし・・・」
「分かる・・・あとお着替えヌイの先輩最高・・・」
「お着替えヌイ!!私、100個買おうとして英二くんに止められたんですよー!」
「・・・先輩、相変わらず、英二先輩のこととなると馬鹿ですね・・・」
馬鹿って酷い、そう頬を膨らませながらも、こうやって鳴海さんと英二くんの話を出来るのは楽しくて、あーあ、また最初からじゃないの・・・、なんて列に並び直した鳴海さんに続いて私も並び直した。