第115章 【ミライへ・・・】
「あ、そういえば、今日は鳴海さんも来るって言ってましたよ!」
『へー、周助なんも言ってなかったなぁ・・・桃城から聞いたの?』
「あ、いえ、鳴海さんからです。」
桃城くんと鳴海さんは、あのまま付かず離れずで高校時代を過ごした。
その関係は大学部に進学してからも続いていたけれど、それに終止符をうつ出来事は突然訪れたそうだ。
家庭環境が複雑な鳴海さんは、鳴海グループとすっかり縁を切り、奨学金とアルバイトで学生生活を送っていたけれど、ある日突然ご両親に呼び出されて、とある企業の御曹司と結婚するよう言われたそうで・・・
それは、経営が傾いている鳴海グループを救うための結婚・・・
自分を犠牲にしつづけてきた鳴海さんが、その命令を素直に受け入れたのはしごく当然な流れだったのかもしれない・・・
だから婚約パーティーの席に、警備員に取り押さえられながらも駆けつけた桃城くんは、本当にかっこよかったんだろうなって、その話を聞いた時に涙が止まらなくなった。
なんで先輩が泣くんですかって鳴海さんには呆れられたけど・・・
『へー、相変わらず璃音、あの子と仲良くやってんだ、それも不思議よねぇ・・・』
「まぁ、そうですね、高校生の頃を思ったらなかなか有り得ない話だなっては思うんですけど・・・」
『相変わらず、英二のおっかけふたりでやってんだ?』
「はい、一緒に楽しんでますよ、おっかけってほどでは無いですけど・・・」
鳴海さんに再会したのは、英二くんと結婚してからしばらくたった時のこと。
Moonlightの新曲発表を記念した販売会があり、メンバーの等身大パネルがCDショップに飾られるとの事で、ソラをお母さんにお願いして都心の大きなショップまで赴いた。
コレ、来たはいいけど、私、まずくない?
一応、メガネと帽子で変装はしてきたけれど・・・
来てから気がついた、私は一部の?ファンに歓迎されていないことに・・・
いや、もっと前に気がつけよって感じなんだけれど・・・