第115章 【ミライへ・・・】
「・・・不二ぃー!璃音困らせるの禁止ー!つーか、その話題すげームカつくし!」
「周助、私の璃音困らせたら私だって怒るわよ?その話題は今回だけなら怒らないであげるけど!」
「市川!私のってなんだよ!璃音はオレのだぞ!!」
あ、ああ、懐かしい・・・あの頃と何も変わらない・・・
私の大好きな人たちと、大好きな雰囲気のまま・・・
戻ってこれたんだ・・・無理やり忘れていたこの暖かい空間に・・・本当に・・・
ほらー、泣かないの、そう言って美沙が私の涙を拭いその腕の中に抱きしめてくれる。
そんなことされてしまうと、ますます涙は止まらなくなってしまって・・・
「英二くん、私を見つけてくださって、本当にありがとうございました・・・」
美沙の腕の中から英二くんにそうお礼を言うと、英二くんは優しく私の髪を撫でてくれた。
それから、美沙とはお寿司をご馳走になりながら、色々な話をした。
高校でのこと、大学でのこと、社会人になってから・・・
当たり前だけど、離れてから私は私の人生があったように、美沙には美沙の人生があって・・・
私はイレギュラーで母親になってしまったから、美沙の、誰もが当たり前に経験する青春の話を少し羨ましくも思ったりして・・・
(だからって決して後悔しているわけではないけれど!)
特に不二くんとの思い出を話す美沙はとてもキラキラ輝いていて・・・
「あ、ちょっと、周助!!勝手に写真撮らないでよ!!」
「ゴメンゴメン、美味しそうに食べる美沙が可愛くて、ついね。」
「かっ!!何言ってんの!!バカ!!」
高校生の頃、どんなタイプが好みか聞いたとき、美沙は自分より食べる人!と即答していた。
不二くんは美沙よりは食欲旺盛ではないけれど、美沙が美味しそうに沢山食べる姿をとても愛おしそうに見つめていて・・・
きっとありのままの自分を受け入れてくれる不二くんに美沙も惹かれたんだろうなって、そんな2人の関係が自分の事のように嬉しくて・・・
「美沙、とっても可愛いですよ、本当に不二くんとお似合いです。」
クスクス笑いながらそう美沙に言うと、真っ赤な顔をした美沙に、おもいっきり口の中にわさび寿司を詰め込まれた。