第115章 【ミライへ・・・】
まぁ、そのうち、英二くんの事務所から英二くんの私生活の話題は厳禁とメディアに要求が出たらしくて、自然と私の周りも静かになってくれてよかったけれど・・・
そして、英二くんの事務所、凄いなって改めて怖くなったりもしたけれど・・・
そう言えば、私があの【ミステリアスな女流作家の麻倉マコト】だって英二くんは知らなかったみたいで、メディアの報道で初めて知ったらしく、英二くんの驚きは相当なもので・・・
「え?でも英二くんの事務所の社長さんは知ってましたよ?だから英二くんも当然知っているものかと・・・」
「知んないよ~!なんで言ってくんなかったんだよ!?」
「えっと・・・聞かれませんでしたので・・・」
そんな私の返答に、璃音はそう言うと思った、なんて言って英二くんはため息をついた。
「それより美沙のところはどうなんですか?今日は不二くん・・・」
『あ、周助も来れるよ!昨日撮影先の沖縄から帰ってきて!!全く、カメラのこととなると本当に勝手なんだから・・・もう少し余裕を持って帰ってきなさいよね!!』
「ふふ、仕方がありませんよ、お仕事ですから・・・」
美沙に抱きしめられながら流した涙が落ち着くと、皆さんの中に不二くんがいるのに気が付いて・・・
英二くんから不二くんと美沙が大学部に進学してから付き合っているのは聞いていて、本当に良かった、そう嬉しく思っていたけれど、私が不二くんを傷つけたままなのは別問題な気がして・・・
あ、あの・・・そう、不二くんに歩み寄ると、深々と頭を下げた。
「不二くん、私・・・本当にごめんな・・・」
「璃音、おめでとう!まさか英二の子どもを妊娠してたなんてビックリしたよ。でも良かった、あの時あのまま最後まで進んでいたら、妊娠発覚した時に璃音を悩ませてしまうところだったからね。」
いや、その通りなんだけど、美沙や英二くんの前でその話題に触れる?なんて焦ってしまう。
私はもう「周くん」なんてとても呼べないのに、不二くんは昔と同じ「璃音」のままで、余裕そうにクスクス笑ってるし・・・