第115章 【ミライへ・・・】
「ファンのみんなには、また嫌な思いさせちゃったかもしれないけど、さ・・・ずっと夢だったんだ、菊丸家のような賑やかで笑顔が絶えない家庭を作るのが・・・その夢がやっと叶うんだ・・・やっと・・・」
シンとするスタジオ内、だ、だからって俺らには前もって言えよな、なんて他のメンバーが間を取り持って、ごめーん、そう英二くんが両手を合わせててへぺろを繰り出す。
「これが最後だから・・・ワガママ言うのは、これが最後・・・これからは事務所の言うことも全部素直に聞いて、ファンのみんなにも迷惑かけないようにするから・・・」
だから、みんな、これだけはオレのワガママ通させて?、そう真剣な顔で深々と頭を下げる英二くんが、涙でにじんで見えなくなる。
英二くん、ありがとう・・・、私とソラのために、今後の自分を犠牲にしてまで・・・
本当に、ありがとう・・・
その英二くんの結婚宣言は、予想通り世間を騒がせた。
まぁ、その前の雑誌のインタビューで英二くんの想いは世間に知れ渡っていたし、生放送での英二くんの訴えは好印象だった人が多かったようで、世間の大半は祝福モードになってくれたけど・・・
その祝福モードに英二くんの事務所も私とソラのことを認めるしかなくなって、無事に結婚出来ることになったんだけど、まぁ、相手は誰かってなるのは自然の話で・・・
私が完全な一般人ならそんなことも無かったのかもしれないけれど、私がメディアに取り上げられるようになったから、そのうち英二くんの相手が私だって世間に知られちゃって、私の売名行為だってバッシングもされたりして・・・
そもそも、私が週刊誌にリークしたわけでもないし、冷静に考えれば売名行為じゃないのは分かってもらえると思うんだけど、一部の英二くんの過激なファンから、私の本を燃やされたり、相当なバッシングをされたりして・・・
私一人なら全然気にしないでいられたんだけど、やっぱりソラのことが心配で、暫くは外を歩くのも怖くて大変だった。