第115章 【ミライへ・・・】
「・・・あ、美、沙・・・、あ、あの・・・私、ごめんなさい・・・ずっと・・・」
「絶対許さないから!私の事なんだと思ってるの!」
すごい勢いで抱きつかれて、それから沢山怒られた。
でもその口調とは裏腹に、その真意はとても暖かくて・・・
ごめんね、美沙、こんな私を許してくれてありがとう・・・
しばらくふたりで抱き合って泣き続けた。
『今日は英二は?かわむら寿司、一緒に来れるの?』
「はい、一緒に行きますよ、今はここにはいませんけど・・・」
『じゃあ、久しぶりに菊丸一家に会えるんだ!無愛想な英二に会うの楽しみー!!』
しばらく抱き合って泣き続けて、涙が落ち着くと英二くんが皆さんにソラを紹介してくれた。
みんな私だけじゃなく英二くんそっくりのソラ出現に、英二くんのご家族のように驚いていたけれど、5歳児らしからぬ本を無言で読み続けるその様子に、「無愛想な英二」と言って大笑いした。
『でもよく一家で時間できたね!相変わらず忙しいんでしょ?英二はもちろんだけど、璃音も・・・見たよ、授賞式のニュース!文学賞おめでとう!』
「あー・・・ありがとうございます、出来ればテレビの取材は受けたくないんですけど、そういう訳にも行かなくて・・・」
『【ミステリアスな女流作家】は今じゃすっかり【美しすぎる女流作家】だもんねー!更にはあのアイドルの菊丸婦人!そりゃ世間がほっとかないわ!!』
「やめてくださいよ、作品以外で注目されるのは本意ではないんですから・・・」
英二くんから身を隠していたから、以前はメディアや私生活のことは一切NGで通していたけれど、英二くんと再会して隠れる必要がなくなって、前々から編集部に説得されていたサイン会くらいなら・・・そう了承したら、あれよあれよという間にメディアに注目されるようになってしまって・・・
お陰で授賞式出席が原則の文学賞も頂けるようになったし、応援してくださる方も増えて有難いんだけど・・・
まぁ、露出が増えれば色々不自由も増えるし、いわゆるアンチも増えるから大変は大変なんだけど・・・