第114章 【アノヒノヤクソク】
「あぁ・・・本当にそっくりだね。」
オレの正面に座った璃音のとーちゃんが、徐にそう呟く。
へ?って思って顔を上げると、璃音のとーちゃんはオレとソラの顔を見比べていて・・・
「いや、英二くんの活躍はテレビや雑誌でしっていたから、そっくりなのは分かってはいたんだけどね・・・、改めてこうやって並んでみると本当に瓜二つだ。」
やっと会えた、そう続けた穏やかな声、オレを見る眼差し・・・
だけど、その瞳には力強い意思を感じる。
それは、璃音のそれと同じ・・・
「あ、あの・・・すみませんでした。オレ、その・・・璃音、さんを・・・それなのに、今までずっと・・・」
深々と頭を下げる。
怒られそうな雰囲気ではないけれど、だからってやっぱりちゃんとしないといけないことだから・・・
璃音との過去と未来を、許してもらわないといけないから・・・
「いや、こちらこそ、すまなかったね・・・キミの意志を確認しないで、勝手に・・・」
「そうよ、謝らなきゃならないのはこっちの方よ、ちゃんと英二くんと話し合いなさいって説得したんだけど、璃音、誰に似たのか凄い頑固で・・・本当にごめんなさいね?」
璃音のとーちゃんとかーちゃんに謝られて、どうしたらいいか分からなくなる。
だって、どう考えてもまだ高校生だった璃音を妊娠させて捨てたオレが悪いんじゃん・・・
本当に全てが璃音の家族で・・・
「いえ、オレは璃音さんのその強さに救われました・・・出来れば、これからもずっと・・・今度は、オレが璃音さんとソラを一生、大切にしますから・・・」
大切にするから・・・
璃音とソラと、暖かい家庭を築いて・・・
ずっと夢だった・・・
叶うはずないって諦めて、でも璃音とならって誓ったのに、傷つけて手放して・・・
でも、やっと見つけたから・・・
もう、二度と失いたくないから・・・
「璃音さんと、結婚させてください。」
真っ直ぐに璃音のとーちゃんとかーちゃんを見つめると、もう一度深々と頭を下げた。