第113章 【オトウサン】
グイッと英二くんに掴まれた腕を引いた。
英二くんに掴まれたところが熱くて、すごくドキドキする。
本当だったら、このまま英二くんの胸に飛び込んでしまい。
しまいたい、けど・・・
ダメ、このまま流されてしまったら、私、英二くんから離れられなくなってしまうから・・・
「・・・離して・・・?」
なんとか声を振り絞った。
自分の本能に負けてしまわないように・・・
英二くんに甘えてしまわないように・・・
目に一生懸命力を込めて、キッと英二くんを睨みつけた。
「ヤダよ!ぜーったいヤダ!!」
離してほしかったのに、英二くんは引いた私の手をグイッと引き寄せて、ソラを抱える私ごとその腕の中に閉じ込める。
ソラが間にいるから、ピッタリとくっついている訳では無いけれど、その温もりに心臓が破裂してしまいそうになる。
「絶対、離さないかんな!今度は!!もう二度と!!!」
あん時、璃音の手を離したこと、ずっと後悔し続けてきたんだ・・・、そう耳元で発せられた英二くんの声は震えていて・・・
本当に離れないようにしっかりと抱えられていて・・・
ダメなのに、逃げなきゃいけないのに、そう言って貰えて、こんな風に抱きしめてくれることが、嬉しすぎて泣きそうになる・・・
「・・・なんで、言ってくんなかったんだよ?」
「・・・え?」
「・・・妊娠したって、なんで・・・」
その言葉に我に返った。
ゴメン、本当にゴメン・・・そう涙を流して謝ってくれる英二くんの胸を思いっきり押し戻した。
だから感情に流されてる場合ではない、英二くんに迷惑をかける訳にはいかないんだから・・・
「違います!この子は・・・別に英二くんの子という訳ではなく・・・」
いや、こんなにそっくりなんだから、どう見てもバレバレだろうけど・・・
だからって、「はい、そうです」なんて簡単に認める訳にはいかなくて・・・