第4章 【オソレトフアン】
信じられない!
信じられない!!
信じられない!!!
どうして彼が、あんな場所であんなことをしているの?
そりゃ高校2年生っていったら、タカンナオトシゴロだとは思うけど、いくらなんでも外でってありえない!
『あぁぁぁぁ、英二ぃーーー!!!』
女の人の声が頭から離れない。
「お願い、やめて!!」
耳をふさいでそう声を上げると、その女の人の声を追い払うように走り出す。
「ただいま!」
自宅まで夢中で走って玄関のドアを乱暴に開けると、ちょうど朝食の準備を始めた母がびっくりした顔で覗き込む。
「璃音!?どうしたの……?そんなに慌てて、あなたらしくもない……」
そう驚く母に、何でもないの、なんて肩で息をしながら答えると、その勢いのまま自室へと急ぐ。
部屋に入りそのままベッドへとダイブすると、まだ爆睡していたネコ丸が、ビクッと身体を起こして丸い目をさらに丸くした。
心臓のバクバクがおさまらないのは、あんな光景を見たからか、必死に走ってきたからか……
それとも、そこにいたのが菊丸くんだったからか___