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【テニプリ】闇菊【R18】

第112章 【ソラ】




「お父さん、DVDかけて・・・私のバッグの中・・・」


『乾ー、オレ、カッコ良くうつってるー?』


持ってきた英二くんのデータDVDをかけてもらうと、画面の向こうでニイッと笑う英二くんに、うつってます、そう返事をする。
最初に周くんに借りてみた時から、何十回、何百回と欠かさない・・・


英二くん、頑張ったね・・・
ラケットも握れなかったのに、いっぱいいっぱい頑張って克服したんだね・・・


今度は、私が頑張る番・・・
頑張って、元気な赤ちゃんを産んでみせるね・・・


「お母さん、もう赤ちゃんの頭が出てきてるよ!もう少し・・・頑張って!!」
「んーーー!!・・・!!!」


先生の合図での何度目かのいきみの後、すっと抜けた圧迫感・・・


「・・・ホェェ・・・ホェェ・・・」


慌ただしい分娩室に、小さいけれどしっかりとした産声が響く。
それは長い長い陣痛の痛みも苦しみも、全てが消えて無くなる瞬間だった。
呆然と天井を見つめる私に、お母さんが笑いかける。


「おめでとう、璃音、頑張ったわね。」
「・・・ありがとう、お母さん・・・」


看護師さんが赤ちゃんを連れてきてくれる。
産まれたばかりの赤ちゃんって、こんなに小さくて、温かくて・・・それから、こんなに愛おしいんだ・・・


初めて抱いた温もり・・・
ジッと私の目を見つめながら、一生懸命、おっぱいを吸ってくれている・・・


「生まれてきてくれて、ありがとう・・・ソラ・・・」
「名前?ソラくん?」
「うん・・・ずっと考えていたの・・・男の子でも女の子でも、ソラ・・・」


分娩台の窓から見える空を眺める。
空は英二くんがずっと眺め続けているから・・・
英二くんが見ていてくれるから・・・
同じ空の下にいる限り、英二くんと繋がっていられるから・・・


私たち、英二くんの傍にいられるから・・・







ね・・・、英二くん____




















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