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【テニプリ】闇菊【R18】

第112章 【ソラ】




「・・・お母さん、もう、ヤダ・・・無理ぃ!!」
「何言ってるのよ、まだまだこれからよ、そんな弱音吐いてどうするのよ?」
「だって・・・こんなに・・・痛いなんて・・・ハア・・・」
「自分で望んだことでしょ?大丈夫だから・・・」


イギリスに渡って数ヶ月後、いよいよ陣痛が始まって、出産の時を迎えていた。
もちろん覚悟はしていたけれど、陣痛の痛みは予想以上に苦しくて・・・


こんなんだったら素直に無痛分娩を選択すればよかった・・・、そう病院の先生との話し合いで自然分娩を希望したことを後悔した。


「だってあの時は、陣痛の痛みを乗り越えて、産みたいって・・・思ったんだもの・・・最初で最後の出産だし・・・」
「だったら思う存分楽しみなさい、ほら深呼吸して・・・テニスボール当ててあげるから。」


いきみ逃しのテニスボール・・・
その黄色いボールを見ていると、自然と思い出す英二くんの姿・・・


他の妊婦さんたちはみんな旦那さんが付き添っていて・・・
当然だけど、私はひとりで産むしかなくて、両親はそばにいてくれているけれど、やっぱり旦那さんに付き添ってもらっている妊婦さんたちが羨ましくて・・・


「・・・えい、じ、くん・・・」
「泣いている場合じゃないでしょ!しっかりしなさい!」


分かってるけど・・・
だけど、やっぱりここに英二くんがいてくれたら・・・


「璃音!!試合結果の更新されたぞ!!」


分娩室に興奮気味に入ってきたお父さんに視線を向ける。
目の前に差し出された携帯画面の内容に、痛みと寂しさからくる涙とは別の涙が溢れ出す。


英二くん・・・凄い・・・おめでとう・・・


それは、英二くんと周くんのインターハイの勝利を知らせるホームページ・・・
日本から取り寄せた月間プロテニスで英二くんの記事を見つけた時から、この日をずっと楽しみにしていて、お父さんに試合結果をチェックしてもらっていた。


英二くん、本当にテニスが出来るようになったんだね・・・
周くんの望んだように、ダブルスで出場して勝利を掴むことが出来たんだね・・・

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