第111章 【ホコレルヒトニ】
ガサガサと目の前の茂みが揺れる。
やべ、誰か来る!
慌てて起き上がり、雑誌で顔を隠す。
あぁ、なんか、懐かしい・・・
あの時みたいだ・・・ちょうどこの位置で、そこの茂みが揺れるのを見ていた。
・・・思いっきり、オトモダチを下に敷いていたけれど・・・
どうしよう?って考えてる間に、ひょこっと璃音が顔を出したんだ。
本当に、出てきてくんないかな・・・
あん時みたいに、そこからもう一度・・・
出てきてくんないかな___?
懐かしいシチュエーションと根拠の無い期待に胸がドキドキする。
そーっと向こうから人が顔をのぞかせる。
・・・へ?
意味がわからず、パチパチと瞬きをする。
だって・・・この顔・・・
大きいパッチリとした二重の目、特徴のある赤茶のくせっ毛・・・
無表情でオレをジッと見つめるその男の子の顔は、初めて会った気がしないもので・・・
ポケットを探ると、テープ式の絆創膏を取り出す。
ピリッと破くと、そーっと近ずいてその子の頬へと貼り付ける。
・・・やっぱ、オレーーーーー!!??
尻もちをついて、そのままズササササと後退りをする。
いや、オレはオレだからオレってことは無いんだけど・・・
でも、とても他人とは思えないほどそっくりで・・・
オレにこのくらいの年齢の親戚っていたかな・・・?
一番上のにーちゃんの子どもはまだ産まれたばっかだし・・・
って、落ち着け、菊丸家の親戚とは血が繋がってないんだから、こんなにそっくりなはずないか・・・
つうことは・・・おかーさんの子?
って、まさかオレの弟か!!??
なんだよ、前に会った時、なんも言ってなかったじゃん!
そう言う重要なことは、何かの時のためにちゃんと話しとけよなー、そう頬をふくらませながら、携帯でおかーさんのLINEを呼び出す。
だけど、すぐに頭をよぎった別の考え・・・
「・・・お前、何歳?」
いつの間にか茂みを乗り越えこちら側に来て、これ、見せて頂いてもいいですか?、そうオレの雑誌を指さすその子に問いかけた。