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【テニプリ】闇菊【R18】

第111章 【ホコレルヒトニ】




「・・・あんがと、不二・・・」


ずっと自分の周りにまとわりついていたスモークが、パァァっと晴れて視界がクリアになった。
久々に見た不二の顔は、目元がいつもより赤く腫れていて、不二だってまだキツイのに、オレ、本当に何やってんだろ・・・って情けなくなった。


「・・・別に、英二のためじゃないよ。」


晴れやかな顔で空を仰ぐオレの隣で、そう不二が小さく呟いた。






___それって、噂の本当のお母さん?


『違う違う!あの人は関係ないよん!、でも女の人・・・オレが唯一、愛した・・・』


___愛したって・・・いいの?書いちゃうよ?


『もち!、最初から隠すつもりなんかないしさ!、高校生んとき、オレ、滅茶苦茶荒れててさ・・・女の人のこと見下してた時期あって、その人のことも利用するだけ利用して、すげー傷つけてばっかだったのに、そんなオレを愛してくれた人・・・』




璃音が誇れるような男になるためにオレに出来ることは、やっぱりテニスだと思った。
でもテニスをするためには、乗り越えないといけない壁があった。


「・・・とーちゃん、かーちゃん、あのさ、頼みがあるんだけど・・・オレさ、今更だけどもう一度テニスがしたい・・・進学もして、大学部でもずっと・・・、頑張るから・・・カウンセリングに通って、あの女を乗り越えたい・・・」


その日の夜、夕飯を終えてリビングでお茶を飲むとーちゃんとかーちゃんに頭を下げた。
ずっとオレが抜け殻の状態だったから、ふたりはとっても驚いていたけれど、だからこそオレの願いを快く受け入れてくれて、とても喜んでくれた。


「いっとくけど、今更英二がテニス部に入ったところで、全く通用しないからね?、中学の頃の実力まで戻ったとしても、来年入部するカツオカチローコンビに勝てるかどうか・・・」
「・・・ん、分かってる・・・まずはラケット握れるようにならなきゃだし・・・でも必ず復帰してみせる!」


高校2年の三学期、入部届を書いて持っていくと、冷静に正直な意見を言ってくれる不二に、改めて頑張る決意をした。

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