第109章 【カラッポ】
みんななら、オレの過去も今も未来も、全て受け止めてくれる・・・
家族や、本当だったら小宮山も・・・
温かさと切なさで溢れ出す涙。
グイッと拳で拭って視線をあげる。
真っ直ぐにたじろぐ女達を見つめた。
本当にごめん、そうもう一度、今度は一緒に仲間達が謝ってくれる。
こんな心強いことない。
テニスも、私生活も、本当に頼りになる大切な仲間・・・
「も、もういいわよっ!」
気まずそうにした女達が去っていくと、ホッと頬を緩ませる。
みんな、本当にサンキュ・・・、そう今度はみんなに頭を下げた。
そーっと教室のドアをあける。
一斉に集まる支線、静まり返る教室内、え、英二、おはよー、誰かが気まずそうに声をかける。
「ん、はよ。」
クラス中がオレに気をつかっているのが分かる。
まあ、小宮山とのことがあった時からそうだったけど、今日はさっきの事があったから余計にそれを感じて・・・
それも自分が悪いんだから、仕方がないんだけれど・・・
「教室まで一緒に行くよ。」
そんな大石の申し出を、いんや、大丈夫、そう断って一人で教室まで来た。
だって大石は、わざわざオレのために学校に遅刻までして来てくれていて・・・
中学からずっと無遅刻無欠勤なのに、それを不意にしてまで来てくれて・・・
もう、これ以上迷惑をかけるわけにはいかないし、他のみんなにだって頼ってばっかいらんないし・・・
だけど、こうも居心地悪いと、やっぱ一緒に来てもらえばよかったな・・・、なんて後悔してしまう。
でもオレなんかより、小宮山の方が学校に来づらいに決まっているから・・・
小宮山はもっと勇気が必要なのに、オレが気後れしてる場合じゃないから・・・
教室の一番後ろの真ん中の席、小宮山の机をじっと眺める。
普段だったらとっくに座ってる時間なのに、まだそこは空席のままで・・・
きっと小宮山がここに座る時は、しっかりと不二に支えられているに違いなくて・・・