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【テニプリ】闇菊【R18】

第109章 【カラッポ】




年が明けて先生の許可がおりて、やっと退院することが出来て、すぐにあの公園の東屋に行ってみたけど、当然、小宮山がいるはずもなくて・・・
だったら、と小宮山の家に行こうかと何度も思ったけど、もしあの日のように不二がいたらと思うと怖くて行けなくて・・・


そんな風に悶々としながらあっという間に冬休みは終わって、新学期を迎える日になっていて・・・


「・・・んじゃ、いってくんね。」


気をつけてね、そう笑顔で見送ってくれるかーちゃんに力ない笑顔を向ける。
玄関のドアを開けると、憂鬱な気持ちで冬空を眺める。


新学期、長い休みのあとは学校に行きたくないのなんていつもの事だけど、今日は特に気が重くて・・・
それはただ単に、休みが終わってしまうからって理由じゃなくて、当然、小宮山のことがあるからで・・・


小宮山は本当に学校に来るだろうか・・・


『学校にも行けなくなってしまって・・・本当にごめんなさい、でも、きっと、大丈夫です・・・冬休み明けにはいけると思います・・・』


オレが謝りに行ったあの日、逆に何度も頭を下げた小宮山が、今日から学校に行けると言っていた。
不二くんが居てくれるから・・・、そう不二の手を取って幸せそうに笑って・・・


小宮山を不登校にしたオレがこんなこと言う資格なんかないけれど、どうしても小宮山には学校に来れるようになってもらいたくて・・・
だけど、もし小宮山が学校に来ているとしたら、きっとその隣には不二がいるに違いなくて・・・


小宮山に会いたい、会いたくて仕方がない・・・
でも、会うのが怖い・・・


「小宮山・・・」


はぁ・・・っと大きくため息をつくと、空から視線を足元へと落とす。
グイッとマフラーを上にあげて、情けない顔を隠した。

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