第109章 【カラッポ】
「英二、ちゃんと大人しくしてる?」
「・・・してるよ、こんだけ見張られちゃ、ぬけだせねーもん・・・」
なかなか自分で思ってるより肺炎の方は酷かったみたいで、結局、クリスマスだけじゃなく、お正月も病院で過ごすことになって、その間、ずっと家族や大石、あと乾やタカさん、桃や海堂までお見舞いがてら監視に来て・・・
家族ともだけど、仲間とは学校でオレが好き勝手するようになってからずっと気まずいままだったから、大石がみんなを連れてきてくれたとき、すげー嬉しかったけど戸惑って・・・
特に桃とは芽衣子ちゃんの事があったから、その前からずっと気まずいままで、来てくれたはいいけれど、何を言ったらいいか分からなくて・・・
「・・・あのさ、みんな、ゴメン・・・オレ・・・」
恐る恐るそう謝ると、みんな、今更だろ?って笑ってくれて、なにごとも無かったかのように許してくれて・・・
家族もそうだったけど、本当、こんなオレなんかにみんな優しくて・・・
「・・・英二先輩にしっかりしてもらわないと、心配で前に進めないやつがいるんすよ・・・」
その桃の言葉で、改めて芽衣子ちゃんにも迷惑をかけたことを申し訳なく思う。
もうオレとなんか関わらないで、幸せになってもらいたいのに・・・
本当にゴメン、そっと芽衣子ちゃんにも謝罪の言葉を呟いた。
みんな、毎日、交代で会いに来てくれたけど、不二は一度も来ることはなくて・・・
まぁ、小宮山のことがあるから当たり前だし、もし来られたとしてもまともに顔を見ることすら出来そうにないんだけど、でもこのままなのはモヤモヤして・・・
もともとは全面的にオレが悪いんだし、本当は不二にも謝んなきゃなんないんだけど、小宮山のことを思うと蟠りだらけで、やっぱ謝れそうになくて、自分でもどうしたいのか、どうしたらいいのか分からずに、ずっと胸の奥が重苦しい気持ちでいっぱいだった。