第18章 【メバエタオモイ】
「……オレさ、コレでも反省してんの」
ふと彼が真剣な顔になり、俯きながらそう呟くから、え?って思って英二くんを見ると、色々ごめんな、そう彼はもう一度私に謝罪する。
どうしてか分からないけれど、そんな風に英二くんが私のことを考えてくれた事が嬉しくて、私、なにも気にしてないですよ……?そう首を振りながらそっと微笑む。
すると英二くんは空を仰いで、それからふーっと深いため息をついたから、私の胸がズキンと痛んだ。
「……小宮山、オレ、これから酷いこと、はっきりいうよ?」
小宮山にとっては残酷かもしんないけどさ、彼のその言葉に、胸の痛みが大きくなり、思わず顔を曇らせる。
そんな私をチラッと見た彼は、すぐに視線を空に戻し、それからもう一度ため息をついた。
「……オレさ、小宮山とスンのすげー好きだし、小宮山もキライじゃない……」
でも小宮山を好きには、絶対、なんない、そう英二くんはまっすぐに私を見つめながら言いきった。
そう言い切った英二くんの顔は、とても申し訳なさそうなんだけど、それでもその瞳からはとても強い意志が感じられて、その「絶対」が決して揺らぐことはないと物語っていた。
そんな彼の「絶対」が私に与えるダメージは物凄く大きすぎて、泣かないように必死に堪えても、いくら最初から分かっていたことだとしても、それでもどうしようもなく涙が溢れてとまらなかった。
私、心のどこかでは、いつか英二くんが私のことを、好きになってくれる日が来るかもしれないって、そんな都合の良いこと思っていたのかな……
背中を丸めて抱えた膝の上に頭を乗せて、顔を隠しながら身体を震わせて涙を流すと、張り裂けそうな胸の痛みに全身が飲まれていく。
そんな私に英二くんは、ごめんな、そうもう一度呟いて、また寂しそうな瞳で空を仰いだ。