第18章 【メバエタオモイ】
「オレさ、小宮山ってバカだと思ってんだよね」
入り口の上のスペースに2人並んで座ると、徐に口を開いた英二くんがそう言い出すから、思いがけないその言葉に、思わず目をぱちくりさせてしまう。
そんな私の顔をのぞき込みながら、何だよ、その顔ー、そう言って英二くんが笑うから、バカって初めて言われたからちょっと驚いて……、そう苦笑いして答える。
そんな私に、マジでー?オレなんか1日5回は言われっけどね、そう英二くんも苦笑いして言った後、でも小宮山ならそうかもねー、と納得した顔をして頷いた。
で、バカって……?って 聞く私に、だってこんなオレのことなんか好きじゃん?そうサラッと彼が言うから、思わずカアーッと顔が赤くなる。
「何したってオレのこと嫌いになんないし、思いつめてあんなことまでするし、さ……ほんと、バカじゃん?」
男の趣味悪いと将来苦労するよ?今のうちになおした方がいいって、そう英二くんはヤレヤレと首を横に振るから、自分のことなのにそこまで言う?なんて思って、思わずクスクス笑ってしまう。
私だって分かってるし、不思議だなって思ってる。
それでも、英二くんの側にいたいって思ってしまうんだから、もうどうしようもないじゃない?
本当は優しいってこともちゃんと分かってるし、もう酷いことする英二くんも全部ひっくるめて、大好きで仕方がないんだもの。
それに英二くんのあの寂しげな目……いつもあの瞳が私の心を締め付けて、絶対はなしてくれないんだもの……
そんなに悪くないですよ……?そう言って英二くんに笑顔を見せると、うんにゃー、最悪だって、そう言って彼は苦笑いをした。