第108章 【セイナルヨルニ】
だけど、一生懸命頑張ったところで、究極の不器用の私じゃまともなものが出来るはずもなく、到底リストバンドとは呼べないものになってしまったけれど・・・
それでも、何度もやり直して、一番まともに出来たものを包んできた。
そもそも、私が手作りしようとする方が間違ってるのは分かってるんだけど、どうしても家の外に出ることが出来なくて・・・
だったらインターネットで通販すれば良かったんだけれど、せっかくのプレゼントは自分の目で見て確かめて、用意したかったんだもん・・・
でも、こんなものを貰うより、ちゃんとした市販のものの方が、周くんだって嬉しいに違いなくて・・・
そう思うと、そのプレゼントを手に、はぁーっとさらに深いため息をついてしまう。
やっぱり、これは持ち帰ろう・・・
周くんには謝って、外に出れるようになったらちゃんと用意しよう・・・
「・・・璃音、それ、もしかして僕に?」
突然、聞こえた周くんの声に、キャッ、そう驚いてプレゼントを落としてしまう。
コロコロと転がり落ちたそれは、ちょうど彼の足元で止まった。
「あ、いえ、それは、違うんです!」
慌てて拾いあげようとしたその瞬間、一瞬早くそれは周くんの手の中へ収まる。
やだ、考え込んでいたから、周くんが戻ってきたことに私ったら全然気が付かなくて・・・
「璃音、これ、もしかして僕に?」
表情ひとつ変えず繰り返す周くん。
その笑顔の前では、もう誤魔化すことが出来なくて・・・
はい、つまらないものですけど・・・そう観念してそれを肯定する。
「嬉しいな、開けてもいいかな?」
「え?、ここでですか?、それは・・・本当につまらないものですので・・・」
さすがに目の前で、あれを晒されるのは恥ずかしくて・・・
いや、でも、あとから見られても恥ずかしいのは同じだけど、そう悩む私に、璃音のプレゼントがつまらないはずないよ、そう言って周くんは優しく笑ってくれた。