第108章 【セイナルヨルニ】
「わぁ!、凄い!」
周くんの部屋に案内されると、目に飛び込んで来たのは、窓辺に飾られた大きなツリー。
それから、綺麗に飾り付けられたクリスマスオーナメント・・・
気に入った?、そう言って紅茶を運んでくれた周くんに、はい!、なんて答える声が大きくなってしまう。
「これ、周くんが飾り付けしてくれたんですか・・・?」
「うん、璃音が好きそうだと思ってね。」
ありがとうございます・・・、そう言いながら、一つ一つを眺めていく。
本当に素敵・・・今年は家にこもりっきりで、思う存分クリスマスイルミネーションを満喫できなかったから、周くんに駅前の並木道に連れていってもらったけれど、本当にその時だけだから、尚更、周くんの心遣いが嬉しくて・・・
ふふ、サボテンまでクリスマス仕様になってる・・・
一つ一つ眺めて行った先、壁にいくつかの写真が飾られていて、あ、学園祭でお会いした弟さん・・・裕太くんだ、なんて思いながら写真を眺める。
この綺麗な女の人はお姉さんかな?、周くんはお母さん似なんだな、なんて微笑ましく思いながら眺めて行った先、その中の一枚に顔をかたまらせる。
「あ、これ?、気に入ったからやっぱりパネルにして飾らせてもらったよ。」
ふふっと笑って周くんが見つめるのは、学園祭の時に周くんのクラスメイトに撮ってもらった私とのツーショット。
ため息が出るほど似合いすぎてる王子さまの周くんと、どうみても衣装が浮いているお姫さまドレスの私・・・
あの時、パネルにして飾るって確かに周くんは言っていたけれど、いつもの冗談だとばかり思っていたのに、まさか本当に飾っているなんて・・・
「な、なんてことするんですか、早く外してください!」
そう抗議する私の声に、どうして?、こんなに似合ってるのに、そう言って周くんはクスクス笑うだけで、全然真剣に取り合ってくれなくて・・・
周くんも私をからかうの好きなんだから・・・、なんて思って、はぁーっと諦めのため息をついた。