第108章 【セイナルヨルニ】
お母さんが出社すると、朝食の後片付けをして掃除や洗濯を済ませる。
周くんが迎えに来るのは、部活が終わってからの夕方・・・
ご家族はみんなでクリスマスのディナーに出かけるとかで、周くんは行かなくていいんですか?って聞いたら、私と二人きりになりたいから、みんなに食事を勧めたんだよ、なんて言われて・・・
「全く、お前のせいで周くんのご家族にまでご迷惑をおかけするんだからね?」
ソファで丸くなっているネコ丸の頭をコツンと叩くと、その手に頬を擦り寄せ、ゴロゴロと甘えて喉を鳴らす。
もう、怒ってるんだけど?って頬をふくらませてみせても、その愛らしさには勝てなくて・・・
そのうち、膝の上に乗ってきた愛猫の温かさに、ふわふわと意識が微睡んできて、そのままソファに横になると、ネコ丸を腕に意識を手放した。
目が覚めると、もうお昼もとっくに過ぎていて、一瞬、何が起きたのか分からなくて・・・
え?、え?、そうぼーっとしながら、何度も時計を確認してしまう。
学校に行けなくなってから、どうしても生活が不規則になってしまって、ついつい、お昼寝することが多くなってしまったとはいえ、こんな重要な日に寝すぎるなんて・・・
事の重大さに気がついた途端、サーっと顔から血の気が引いていく。
周くんが迎えに来る時間まで、あまり時間が残ってなくて、慌てて立ち上がると、やり掛けの家事を急いで片付ける。
ああ、もう、本当、信じられない!
シャワーも浴びたいし、着替えて、メイクもして・・・
間に合うかな?、そう焦りながら必死に身だしなみを整えていく。
あ、肌、荒れてる・・・
最近、本当に眠くて、睡眠はたくさん取ってるんだけどな・・・
でも、寝てばかりいるから食欲もないし、栄養、偏ってるかもしれない・・・
せっかくの、周くんとのクリスマスなのに・・・、そう少しどんよりしながら、入念に化粧水を染み込ませた。