第107章 【ヌクモリヲモトメテ】
「かーちゃん、ゴメン、オレ、今まで、ほんと、ねーちゃんにも・・・謝ったって、許してもらえないかもしんないけど・・・」
そう、謝ったって許してもらえないかもしんない・・・
小宮山だって、オレのこと、許してくれなかった・・・
あんなに好き勝手して、迷惑かけたんだ。
ねーちゃんになんて、もっと酷い・・・
だけど、やっぱり、失いたくないから・・・
ちゃんと謝るから・・・
「ゴメン、ほんとに、オレが悪かったから・・・だから・・・」
ふわりと包まれた身体・・・
おかえりなさい、もう一度聞こえたかーちゃんの優しい声・・・
ガキの頃より、オレの方がもうすっかり身長が高くなって、ずっと力も強くなったのに、それでもやっぱ、かーちゃんはあの頃と変わらず大きなままで・・・
泣きじゃくるオレの様子に、他の家族もみんな出てきて、驚いた顔で眺める。
もう二度目はないわよ、そうねーちゃんがオレを許してくれる。
「ごめん、ごめんなさい、ほんと、もうしないから、許して・・・」
許して・・・小宮山・・・?
「・・・大石、ほんと、あんがとね・・・」
「何言ってるんだ、いいから少し寝たらどうだ、疲れただろう?」
「・・・ん、そうする・・・」
自室に入ると大五郎を抱えてベッドに潜り込む。
本当はオレのためを思って駆けつけてくれて、わざわざ送ってきてくれた大石をちゃんと見送らないといけないのは分かってんだけど、もう身体も心も疲れ果てていて・・・
その証拠に横になった途端、一気に意識が遠のいていく・・・
あんがと、大石・・・かーちゃん・・・ねーちゃん達・・・
それから、ゴメン・・・小宮山・・・ほんと、ゴメン・・・
そしてまた、大きな大五郎のお腹にシミが出来ていく・・・
そんなオレの寝顔を確認した大石が、そっと涙を指で拭いてくれた。