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【テニプリ】闇菊【R18】

第107章 【ヌクモリヲモトメテ】




「とにかく、英二、家に帰ろう。すっかり冷たくなって・・・一体、何時間、外にいたんだ?」


家に・・・?
帰りたくない・・・でも、帰るしかない・・・


どんなに居づらくだって、オレの家は公園を抜けた先にある、あの赤い屋根の・・・


だけど・・・


「オレ、ここにいる・・・小宮山が来るかもしんないから・・・」


そんなオレの言葉に、英二・・・、そう大石が眉を下げる。
分かってる、そんな顔しなくったって、オレ、分かってるよ・・・
小宮山はきっともうここには来ない・・・


ううん、ここ、じゃない・・・
正確には、オレのところにはもう・・・


「・・・帰ろう、送るよ。」


大石のその声に、うん、と小さく頷いた。
大石に促されて、トボトボと歩き出す。


少し歩いては立ちどまり、ぼんやりと空を眺める。
それから慌てて振り返り、東屋を確認してはまた大石に促される・・・


何度も、何度も・・・


小宮山の家と反対側の公園の出口まできて、やっと振り返るのをやめる。
諦めきれないけど・・・後ろ髪を引かれ続けているけど・・・


目の前の、もうひとつの現実と向きあわないと行けないから・・・


公園を抜けた先、すぐに辿り着いた大きな赤い屋根の家。
出窓には複数の影が見えているのに、以前のように楽しそうな笑い声は聞こえない・・・


オレのせいで・・・笑顔が耐えない家だったのに・・・


「英二、大丈夫か・・・?」


大石が心配そうな顔で覗き込む。
ん、そう小さく頷いて、目の前の家のドアに鍵を差し込む。


「・・・ただいま。」


何とか振り絞った声はやっぱり震えていて、でも、そんなオレの小さな声に、バタバタとかーちゃんが大慌てで駆け寄ってくる。


「・・・かーちゃん、あの、さ・・・オレ・・・」


かーちゃんの目を見ることが出来なくて、俯いたまま黙り込んだオレに、おかえりなさい、そうかーちゃんが声をかける。
いつものように元気はないけど、オレを包み込んでくれる暖かい声・・・


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