第107章 【ヌクモリヲモトメテ】
「英二!!」
思いがけない声に驚いて振り返る。
そこには、オレのところに駆け寄ってくる大石の姿・・・
なんで、大石がここに・・・?
そう思ったと同時に、目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「・・・大石・・・おおいしぃ・・・!!」
思いっきり手を伸ばす。
なんで大石がここに来てくれたかは分かんないけど、ひとりぼっちが辛かったから・・・
自分ではどうしようも出来ない胸の痛みに、押しつぶされてしまいそうだったから・・・
「・・・なんで、大石がここにいんのさ?」
「俺と英二の仲じゃないか。英二のことなら、なんだって手に取るようにわかるさ。」
「なんだよ、それ・・・、別に今、シンクロしてないぞ・・・?」
「はは、そうだな・・・」
大石がオレの身体を支えてくれて、よしよしと頭を撫でてくれる。
全身でスキンシップをするオレに付き合って、オレを受け止めてくれるのはいつもと同じ・・・
「大石、オレ、小宮山のこと・・・そのせいで、小宮山だけじゃなく、不二にも・・・」
一人で抱えきれない想いを、大石にぶちまける。
今までは、大石にも言えなかった・・・
分かってくれていただろうけど、それでもオレの口からはなにも・・・
「大石、オレ、ひとりぼっちになっちゃったよ・・・もう、小宮山も、不二も、乾もタカさんも・・・」
「大丈夫、乾もタカさんも英二をひとりになんかしないさ。不二だって・・・今は無理でも、いつか、必ず・・・」
それに英二にはあんなに賑やかな大家族がいるだろ?、そう続けた大石の言葉に、ブンブンと思いっきり首を横に振る。
家族だって・・・もう、以前のようにはいかない・・・
無理やりねーちゃんにキスをして、学校でも好き勝手して、オレのこと、みんな腫れ物に触るような顔で見てる・・・
もう、オレのいる場所なんて、どこにもない・・・
全部、全部、オレがぶち壊したんだ・・・