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【テニプリ】闇菊【R18】

第107章 【ヌクモリヲモトメテ】




「不二くんが居てくれるから・・・」


少し恥ずかしそうに頬を染めて、不二の手を取った小宮山・・・
オレの目の前で・・・
オレじゃなく、不二の手を・・・


「・・・もう、僕の彼女を振り回すのは、やめてもらおうか。」


まぶたの裏に張り付いて離れない不二の視線・・・
何度も繰り返す不二の声・・・


「でも、もう小宮山先輩は来ないですよ?、先輩が不登校にさせたんでしょ?」


芽衣子ちゃんの厳しい声・・・
そうだ、オレが全部壊したんだ・・・


全部、オレのせい・・・
全部、全部・・・


「小宮山・・・」


何度も何度も、繰り返す。
最初から・・・


そこの茂みでセフレとやってるところを目撃されて、腰を抜かしながら逃げていった・・・
体育館倉庫で、無理やり襲ったオレに、助けてと泣いて懇願した・・・


動画で脅して、無理やりその関係を強要した・・・
ちょっと怖い顔で睨みつければ、恐怖に震えながらなんでも言うことをきいた・・・


やっと小宮山を好きになったのに、オレの勝手で捨てることになって、でもオレを責めることなく必死に泣くのを我慢していて・・・


オレのせいであのカラオケ屋で仲間たちに輪姦されかけて、あの女の言われるがまま身体まで売ろうとして、なのに信じてやれなくて、結局、嫌がる小宮山をまた強姦した・・・


楽しいことも沢山あったのに、小宮山の笑顔を一番見てきたのはオレのはずなのに、もう怯える顔や泣き顔しか思い出せなくて・・・


唯一、思い出せる笑顔が、オレじゃなく、不二の隣で、不二に向けられたものだなんて・・・


そんな馬鹿な話があるかよ・・・?


呆然と、どこと言うでもない空間を眺める。
いつまでも、動くことが出来ず、ベンチに身体を投げ出したまま・・・


冬の夜はとても静かで・・・
世界中に、オレひとりが取り残されてしまったようで・・・


ハラハラと舞い降りる雪・・・
ああ、まるであの日のようだ、なんて、オレが侮辱して置き去りにした小宮山の、その呆然とした顔を思い出した。


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