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【テニプリ】闇菊【R18】

第107章 【ヌクモリヲモトメテ】




「璃音も僕のこと呼んでみて?」
「え?、あ、はい、不二くん?」


そこは普通に考えて、僕の名前を呼ぶところなのに、変わらず苗字で呼んでくる璃音に、ゆっくりと首を横に振る。
璃音、もう一度、念を押すようにその名前を呼ぶと、璃音はハッとした顔をして、あ、えっと、しゅ・・・周助くん?、そう首を傾げる。


「クスッ、周助、でいいのに。」
「ええっ!、そんな、私、呼び捨てはちょっと・・・」


明らかに戸惑っている璃音をもっと困らせたくて、周助がいいな、そう意地悪を言ってみる。
え?、でも、その・・・しゅ、しゅうす・・・ええっ!、そうあたふたする様子を目を細めて眺める。


璃音は反応が素直で可愛いから、どうしてもからかいたくなってしまって・・・
まぁ、それは、英二も同じだったようだけど・・・


「しゅう・・・すけ、くん・・・しゅう、すけ、しゅう・・・」


しゅう、くん?、何度も僕の名前を口ごもっていた璃音が、そう伺うように上目遣いをしてくる。
数秒、目が合って、ああ、やっぱり、ダメですね、なんて慌てて俯いてしまう。


ああ、本当に璃音は僕の想像の上をいく・・・


「ううん、予想外だったから少し驚いただけ、璃音が呼びやすいなら、僕は大歓迎だよ?」
「それでは、その、周くんで・・・本当に呼びやすいのは不二くんのままなんですけど・・・」


それは、ダメ、そうすぐさま拒んだ僕に、璃音はまた少し眉を下げて、それから諦めたようにため息をつくと、周くん、そうもう一度繰り返す。


「・・・璃音。」


今度は僕から璃音に唇を重ねると、彼女は直ぐに背中に腕を回してくれる。
腕の中の温もりを感じながら、何を不安になる必要がある?、そう自分に問掛ける。


そうだ、璃音は英二じゃなく僕を選んでくれた。
そして、こうして僕の腕の中で精一杯僕に報いてくれる。


何も不安になることなんかない。
僕は、英二とは違う。





璃音を信じている___





















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