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【テニプリ】闇菊【R18】

第107章 【ヌクモリヲモトメテ】




小宮山さんは、はっきり言ってくれたのに・・・
僕がいてくれるから、そう英二の目の前で、僕の手を取って・・・


なのに、こんなに不安で仕方がないなんて・・・


それも無理ないのかもしれない・・・
小宮山さんがどれだけ英二を想ってきたか、僕が一番近くで見てきて、嫌という程思い知らされてきたから・・・


「・・・不二くん、顔を上げてください?」


僕の腕の中で向きを変えた小宮山さんが、僕の頬に触れる。
こんな情けない顔、見られたくないのに、彼女はそんな僕の顔を真っ直ぐに見つめてくる。


「不二くん、そんな顔、しないでください?」


ふわりと触れた唇。
目を見開いて、それを手で覆う。


「私が好きなのは、不二くんですよ?」


参ったな・・・、思わずそんな声が溢れる。
僕の気持ちを全て見抜かれているだけじゃなく、まさか小宮山さんからキスしてくるなんて・・・


小宮山さんからキスされたのは、あの放課後の教室以来で・・・
あの時は、まだ小宮山さんは英二のセフレで、英二に脅されて無理やり僕にキスしてきて・・・


あの時と行動は同じなのに、僕に向けられた笑顔は全く違うもので、今は、こんなに優しさで溢れている・・・


「あ、あの、不二くん、紅茶、冷めてしまいますので・・・」
「うん、でも、もう少し、こうしていたいんだ。」


小宮山さんを思い切り抱きしめると、今度は僕の方から唇を重ねる。
紅茶を気にする彼女に構わず、その細い身体を抱きしめ続ける。


「・・・璃音、って、呼んでいいかな?」
「え?、あ、はい、構いませんけど・・・」


結局、英二が呼べなかった小宮山さんの名前・・・
僕が呼ぶことで、英二に優越感を感じるなんて、人間が小さいかな・・・?


「・・・璃音。」
「は、はい。」
「璃音・・・」
「はい。」


何度かその名前を繰り返す。
ずっと苗字で呼んでいた呼び方を、名前の方がしっくり来るように・・・

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