第106章 【フユゾラ】
「なんのことー?、それより、話ってなにかにゃ?、もしかして、芽衣子ちゃん、オレとより戻したいとか?、別にいいよん?、もうオレ、こんなだけど。」
話をはぐらかしながら、絡みついている女にキスをする。
あはは、英二、ほんと性格悪いー、そう言って女がバカ笑いをあげる。
「・・・どこまで、幻滅させれば気が済むんですか。」
大きくため息をついた芽衣子ちゃんが、オレを軽蔑の目で見る。
なんだよ、あんなにオレのこと、大好きだって言ってたくせに・・・
芽衣子ちゃんまで、そうやってオレを責める・・・
不二も、ねーちゃんも、市川も・・・
あの女も、男たちも・・・みんな、いつだってオレばっかり・・・
なんだよ、どう考えたって、小宮山が悪いんじゃん!!
ギュッと拳を握りしめた。
「べーつにー、もともとオレ、こんななの、芽衣子ちゃんだって知ってんじゃん?、わざわざ文句言いに来たのかよ?、だったら、オレ、もう帰るー!」
ヒラヒラと手を振って、芽衣子ちゃんの横を通り過ぎる。
英二、待ってよー、そう女が慌てて追いかけてきて、腕に絡みつく。
うぜー・・・、なんて思いながらも、そのまま歩き続けた数秒後、先輩、そう芽衣子ちゃんが低い声で呼び止めた。
「・・・先輩にそっくりな、外ハネで目の大きい・・・親戚の女の人、なんていらっしゃいますか?」
ドクン___
大きく心臓が反応した。
オレにそっくりな、外ハネで目の大きい親戚の女・・・?
すぐさま思い浮かんだひとりの人物・・・
まさかね・・・そんなはずない・・・そう自分に言い聞かせた。
「お母さん・・・と言うには少し若いな・・・叔母さんか・・・もしかしたら従姉妹?」
ドクン、ドクン___
大きく震える心臓、身体がそれに連動する。
な、んで、そうなんとか声を振り絞る。
ドクン、ドクン、ドクン___
まさか、そんなはずない・・・
だけど、オレにそっくりな親戚の女なんて、あの女しか考えらんなくて・・・