第106章 【フユゾラ】
「ねぇ、英二ぃ・・・、クリスマスってどうするのー?」
「さぁ・・・?、テキトーな女つかまえてヤる。」
「え?、じゃあ、私と一緒に過ごそうよー!」
「・・・ヤるだけだっつーの・・・」
好き勝手して過ごした二学期最終日の放課後、いつものように教室で女とダラダラして時間を潰す。
色々あってからあっという間に時が過ぎて、気がついたら明日からもう冬休みで・・・
クリスマスか・・・、そう思うと、いろんな意味で胸が苦しくなる。
毎年、クリスマスは菊丸家で盛大にパーティーをして・・・
ご馳走食べて、プレゼント交換なんかやったりして・・・
そんでその後、あのカラオケ屋に行って、バレンタインの時もそうだったけど、朝まで乱交パーティーをして・・・
今年はあんなことがあったから、もうあのカラオケ屋に行けないし、もちろん、家族と過ごすわけにもいかないし・・・
テニス部のヤツらとも不二とのことで気まずくなったし、大石にも合わす顔ないし・・・
この冬休みは、長い休みになりそうだな・・・、そう憂鬱でため息が溢れる。
それに・・・
『クリスマスも一緒だかんな?、お正月の初詣も、バレンタインも・・・』
遊園地でデートした時の小宮山との約束・・・
思い出したくもないのに、どうしても頭をよぎって・・・
あー、もう、そうワシャワシャと髪の毛をかき乱すと、グイッとその女を引き寄せる。
嫌な思い出を追い払うように、強引に唇を重ねると、夢中で舌を絡ませた。
「ね、英二、もう不二と仲直りしないの?」
激しくキスをしながらその身体に手を這わすと、息継ぎのタイミングでその女が不二の名前なんてだすから、イラついてその身体を押しのける。
みんな、オレと小宮山と不二のことを、好き勝手に噂しているのは、当然、気がついていたけれど、こうはっきり聞かれたことはなくて・・・
ほんと、空気読めない女だな、そう腹が立って・・・