第106章 【フユゾラ】
最初はただケンカしただけ、そう気楽に考えていた家族も、数日、そんな状況が続くと、いつもと違うことに気がついてきて・・・
そのうち、オレが学校で好き勝手やってるもんだから、担任からあっさり両親に連絡が行って、まぁ、不特定多数の女と遊びまくってんだから当たり前なんだけど、オレの悪態はすぐに家族に知られることになって・・・
ねーちゃんはなんも言わなかったけど、きっとそれでとーちゃんもかーちゃんも、察したと思うし、第一、こんな問題児、バレなくたって追い出されるに決まっていて・・・
だけど、なんど学校から連絡があっても、とうとう両親揃って呼び出されることになっても、なかなか「出ていけ」とは言われなくて・・・
まぁ、犬や猫だって一度拾ったら最後までめんどーみるのが義務だし、人間なら尚更なんだろうけど・・・
だったら、本当はオレのほうから空気読んで出ていくべきなんだろうけど、でもこの暖かい空間をどうしても自分から手放すことが出来なくて・・・
そんなに大切に思っているなら、前みたいに学校でも家でも、いい子ぶりっ子してればいいだけなのに、グチャグチャになった心では、もうそんな器用なことは出来なくて・・・
ほんと、オレ、何やってんだろ・・・
ガキの頃から、簡単に出来たことが、こんなにも出来なくなるなんて・・・
「英二ー!!、待ってたよー!!」
「お前、なに、朝からサカってんだよ・・・」
「違うよぉ、早くしないと英二、他の女にとられちゃうからー!」
青春学園前駅の改札を抜けるとすぐに、待ち構えていた女が絡みついてくる。
学校で好き勝手に遊ぶようになってから、あっという間に女が集まってくるようになって・・・
青学に通う女は、あのカラオケ屋で遊んでいたビッチ共とは違うと思っていたけれど、蓋を開けてみれば案外同類がいるもんで・・・
ほんと、女はバカばっかで・・・