第104章 【ホウカイ】
「なんだよ!ねーちゃんなんて何も知んないくせに!」
大声をあげて立ち上がり、ねーちゃんの背中を押して乱暴に部屋から追い出す。
バタンと強く閉めたドア・・・
追い出されたねーちゃんが、すぐにドアノブをガチャガチャ鳴らすから、慌てて開かないように手で抑える。
「開けなさいよ!、なんなのよ、さっきの子!、まさか浮気じゃないでしょうね!?、また璃音ちゃん泣かせたら、今度こそ承知しないわよ!!」
怒りがまた爆発する。
オレが悪いと決めつけるねーちゃんの言い方と、「浮気」という言葉そのものが地雷になって・・・
芽衣子ちゃんのことがあったから、ねーちゃんがそう思うのは仕方が無いんだけど、でも今のオレにはキツすぎて・・・
バン!
頭にきて思いっきりドアを開けた。
ドアを叩いていたねーちゃんが、勢いで前に倒れ込んだ。
「いたた・・・何すんのよ、いきな、り・・・」
倒れ込んだ体制からオレを見上げたねーちゃんが、ビクリと肩を震わせる。
その反応で、自分がどんな顔してんのか分かったけど、もう止まんなくて・・・
「・・・なんだよ、いっつも自分が正しいって決めつけてオレを下に見てさ・・・こっちだって、いつまでも小さなガキじゃねーっての・・・」
普段の「生意気だけど可愛い弟」とは程遠い声、程遠い目付き・・・
家族の前じゃ決して見せたことのない、オレの本性・・・
その180度違うオレの様子に、ねーちゃんは驚いて声も挙げれなくなっていて・・・
「浮気?、だったらオレじゃなくて小宮山に言えば・・・?」
「は・・・?、何、言って・・・?」
「だーかーらー、浮気したのは小宮山の方だっつーの・・・あったま悪いなぁ・・・」
「なんですっ・・・て・・・」
オレの最後の暴言に一瞬言い返そうとしたねーちゃんだけど、小宮山の裏切りを理解して顔を固まらせる。
だけど慌ててブンブンと首を横に振って、かーちゃん譲りの気の強さで、またオレを睨みつけた。