第103章 【ボクガシアワセニ】
「不二くん、ごめんな___」
そっと小宮山さんの唇を人差し指で塞ぐ。
答えなんて最初から分かっていた。
小宮山さんが僕のことをなんとも思ってないことくらい、最初から・・・
だから、そんな顔して、謝らないで・・・?
困らせたいわけじゃないんだ・・・
ただ僕は、小宮山さんにこの想いを伝えたかっただけで・・・
「いつまでも待つから・・・小宮山さんが全てを忘れるのを・・・ううん、違うな・・・僕が全てを忘れさせてあげるから・・・僕を利用していいよ?」
小宮山さんの唇から指を離すと、ゆっくりと僕のそれに移動させる。
伏せ目がちに小宮山さんをじっと見ると、彼女はその僕の言葉と仕草にますます顔を赤らめた。
忘れさせてあげるから・・・
利用して構わないから・・・
今度は僕の唇から指を離して、小宮山さんの肩に腕を戻す。
待つって言ったばかりだけど・・・
それでも、以前、一瞬だけ触れたことのあるその感触を確かめたくて・・・
「小宮山さん、嫌だったら言って・・・?、でも、出来れば拒まないでほしい・・・」
ゆっくりと彼女に顔を近づける。
戸惑っている小宮山さんに、どうか拒まないで・・・、もう一度、耳元で囁く。
「不二くん・・・?」
唇が触れる直前、僕の行動の意味に気がついた彼女が、ゆらりと瞳を揺らす。
構わず重ねた唇・・・
拒まれなかったわけじゃない・・・
小宮山さんは、動けなかっただけ・・・
それでも、抵抗されないのをいいことに、彼女の意思を無視してキスし続ける・・・
数秒後、身体を硬くしていた小宮山さんの腕がゆっくりと動き出す。
控えめに・・・本当に控えめにだけど、彼女が僕の制服の裾を握りしめてくれた。
ありがとう、受け入れてくれて・・・
拒まずにいてくれて・・・
ありがとう、小宮山さん・・・
キミは僕が幸せにするよ___?