第102章 【サクジョ】
「小宮山、早く弁当食べに行こー!」
「え?、行くって、教室で食べるんじゃないんですか……?」
「いんや、ふたりで弁当って言ったら、あそこって決まってんじゃん!」
「ええ!?、だって……」
お昼休みになるとすぐに、小宮山の手を取り教室を飛び出した。
余裕ある振りしてみせたって、心の中は不安でいっぱいで……
とにかく、早くふたりきりになりたくて、そんで小宮山を思いっきり抱きしめて安心したくて……
強引に手を引いてきたけれど、もしかしたらこの手で不二に触れたのかもしんない、そう思ったらどんどん自分を抑えられなくなっていって……
いつもの体育館裏についた途端、強引に小宮山を求めて押し倒した。
だけど思いっきり拒否されて、カッとなって自分をコントロール出来なくなった。
なんだよ、なんで嫌がんだよ!!
やっぱり、不二の方がいいっていうのかよ!!
止まらなかった……
止められなかった……
必要以上にオレを拒む小宮山の様子に、ますます不安と怒りが大きくなっていって……
「……何?、嫌なの?」
久しぶりに出した低い声。
ごめんなさい、怯える小宮山のその謝罪すら腹が立って……
悪いことしてないのに謝んなってあんなに言ったじゃん!
重なる幼い頃の自分……
そのオレに手を挙げ続けた大人たち……
必死に小宮山が隠す胸のリボンを無理やり解いた。
チラッと見えた赤い鬱血痕……
思いっきりセーラーの胸元を下げると、案の定、そこにはまだ出来てまもない沢山のキスマーク……
心臓を握り潰されたかと思った。
ヤッパ キノウ フジト ヤッタンジャン……!!
フタリシテ オレヲ ウラギッタンジャン……!!
ずっと繋ぎとめていた微かな希望が、その瞬間、すべて絶望に変わった。