第102章 【サクジョ】
学校に到着した途端、感じた違和感……
遠回しにオレを見る生徒、ヒソヒソと話をする生徒……
「なんだよ?、言いたいことあんなら、はっきり言えよな!」
頭にきて思いっきり声を荒らげた。
小宮山のことで悩んでいたから、ますますイライラして……
「英二、まだ聞いてないのかよ?、あの噂……」
「噂……?」
「小宮山……昨日の夜、ラブホに行ったらしいよ?、青春台駅裏の……なんつーか……その、不二と……」
近寄ってきた友人の言葉に、ズシンと胸に衝撃が走った。
昨日の夜、小宮山があのラブホに……?
しかも不二とって……
なんだよ、それ……?
思わずカッとして、ふざけんなよ!、そう胸ぐらを掴みかかった。
驚いて遠巻きに見ていた生徒達が駆け寄ってきてオレを制する。
「小宮山と不二がんなとこに行くはずないだろ!、勝手なこと言うなよな!」
「落ち着けって、俺が言い出したんじゃねーよ!、PTA会長が見たって、さっき応接室で大騒ぎしてたんだよ!」
PTA会長が見た……?
そんなの、絶対、見間違いに決まってる!
だって、小宮山は、昨日、親戚の人が来て、オレの誕生日を断ったんだから……
小宮山と不二に限って、オレを裏切るなんてこと、絶対、ありっこないんだから……
だけど……最近感じていた小宮山への違和感……
「英二、大丈夫……?」
そいつの胸ぐらを掴んだまま俯いて動かないオレに、周りの女子が心配そうに声をかける。
その声にハッとして、ダメじゃん、そう自分に言い聞かせる。
オレが動揺したら、余計に噂が大きくなる……
つい取り乱して掴んだ胸ぐらから腕を離すと、ごめーん、そうペロッと舌を出す。
でも、それ、絶対人違いだぞ?、そう周りのヤツらに釘を刺す。
「小宮山も不二も、絶対、そんな事しないって!」
「英二がそう言うならいいけど……今、ふたりとも生徒指導室に呼ばれてるみたいだよ……?」
マジで?、そう大声をあげて慌てて走り出す。
オレ、行ってみんねー、そうみんなに余裕の笑みで手を振った。