第101章 【ハツユキガフッタヒ】
「こんなにご迷惑をかけてしまうなんて……本当に申し訳ありませんでした」
生徒指導室から開放されると、不二くんに深々と頭を下げる。
不二くんが庇ってくれなかったら、私、きっと素直に認めてしまっていたし、事実以上のことまで誤解を招くところだった……
不二くんの起点で何とか先生方も納得してくれて……
もちろん、不満げにしている先生もいたけれど、とりあえずは信頼してもらえることになって……
「キミたちの年代で恋愛に夢中になる気持ちもわかりますが、ふたりは本校でも特に優秀な成績を収めている、生徒たちの代表となるべき生徒です。その意味が分かりますね?」
そう諭すように話す校長先生の言葉に、申し訳なく思いながら頷いた。
私はともかく、不二くんは生徒会長でテニス部の部長……
インターハイ制覇もしているんだから、特に学園側としては大切に思っているはずで……
完全に巻き込んでしまって、本当にいつもいつも、私は何をしているのか……
「それより、良かった……目撃されたのが出るところで……」
不二くんのとても重い呟き……
はい、本当に、そう自分に言い聞かせるように繰り返す……
もし目撃されていたのが、あの男の人と一緒に入る時だったら……
そう考えるともっと事態は深刻になっていたに違いなくて……
「小宮山!、不二!、いったい何があったっていうんだよ!?、学校中で変な噂になってるよー?」
廊下の向こうから大きく手を振り駆け寄ってくる英二くんに、ドキンと心臓が跳ねる。
英二くん、もう、噂を聞いたのに、いつもと変わらない……?
「あ、あの……英二くん、私……」
「あー、だいじょうび!、噂は聞いたけど、そんなのぜんぜん気にしてないもんね!、ふたりがオレのこと、裏切るはずないじゃん?」
オレ、みんなに心配されたけど、逆に怒ってやったもんね!、そう後頭部で腕を組んでニッと笑う英二くんの笑顔は、確かに本物の笑顔に見えて……