第101章 【ハツユキガフッタヒ】
「以前から、キミたちには浮ついた噂が絶えないようだしね……先生方としては、少々心配なんだよ」
それはそうだろう……
逆に、今まで呼び出されなかった方が不思議なくらいなんだから……
英二くんのセフレになった時から、私がキスマークを付けているのは学校中の噂になっていた。
その後、写真を撮られて不二くんと噂になっても何も言われなかったし、英二くんと学園祭で堂々と抱き合っても、何も咎められなかった。
それでも、ここに来てまた英二くんと付き合っている私と不二くんが、ホテルから出てきたとなったら、そりゃ学校側だってもう黙ってはいられないよね……
でも、どうしよう……
こんなに大事になってしまったら、また学校中の噂になるのは必至……
周りにどう思われたって構わない、なんて思えるほど、私はもう強くない……
だって、たくさんの大切なものを手に入れてしまったから……
美沙、クラスのみんな……
私のことを受け入れてくれて、英二くんとのことも応援してくれているのに……
結局、不二くんとまた噂になったなんて、もう信用してもらえないかもしれない……
そして……大好きな英二くん……
嘘ついて誕生日をキャンセルまでしたのに……
いったいなんて言い訳したらいいの……?
「小宮山さん、キミは確か他の生徒と交際していると聞いたが……昨晩のことは真実かな?」
「あ、あの……私……」
ガクガクと震える身体……
混乱と押し寄せる不安でもう何も話すことが出来なくて、ただギュッと拳を握りしめる。
こんな態度だったら、もう、真実だって認めているようなもの……
案の定、私のその様子に、それは事実と認めたと受け取っていいんだね?、そう先生方が釘を刺す。
「待ってください!、僕たちの間に先生方が勘ぐるような事実は一切ありません!」
一歩、私を庇うように前に出た不二くんが、そうキッパリと言い切った。