第101章 【ハツユキガフッタヒ】
「小宮山はもう来ているか?……ああ、いるな、至急、生徒指導室まで来るように」
突然、聞こえた担任の声に顔を上げる。
ざわめく教室内……
やっぱり本当なのかな?、そうでしょ?、だってPTA会長が見たらしいよ、そんなクラスメイトの囁き声……
生徒指導室にPTA会長……?
その普段縁のない場所への呼び出しと囁き声に、嫌な予感が胸に広がっていった。
「失礼します、小宮山です。あの、私、何か……」
不安に思いながら生徒指導室のドアをノックして中に入ると、そこには担任の先生だけじゃなく、校長先生や教頭先生、生徒指導の先生や学年主任の先生……つまりは、先生方が勢ぞろいしていて……
その雰囲気に、中学の頃のハッキング事件を思い出し、慌ててその嫌な記憶を頭から追い払う。
「……不二周助、入ります」
不二くん?、驚いて振り返ると、そこには本当に不二くんが立っていて、私と目が合うと深刻そうに目を伏せた。
「あ、あの……」
「ゴメン、小宮山さん、また僕が迂闊だったよ……」
その不二くんの申し訳なさそうな顔に、この状況の原因が理解出来て……
思い出すのはまだ英二くんのセフレだった時……
一緒に英二くんの家に行った帰り道、公園で慰めてもらったところを目撃されて写真に撮られた……
じゃあ、今回も……そう思うとすべて納得できて……
不二くんはなぜ呼び出されたか、心当たりがあるようだね?、その先生の声に、はい、そうしっかりと不二くんが返事をした。
「昨夜、青春台駅裏の宿泊施設から、キミたちが出てくるところを見たという報告がきていてね……」
やっぱり……
青春学園は割と自由な校風で、生徒同士の恋愛にも寛大だけど、いくら何でもラブホテルで目撃されたとあっては、学校側も黙ってはいないよね……
ましてやそれが、PTA会長からの報告とあらば、無下にはできないのも当然で……