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【テニプリ】闇菊【R18】

第99章 【マコト】




私の声に気がついてた男の人と、不二くんがこちらを振り返る。
当然だけど、不二くんは私だと認識した途端、すごく驚いた顔で目を見開いて……


ふ、不二くんがどうしてこんなところに……?
どうしよう!、まさか知り合いに、ましてや不二くんに見られるなんて!


驚いた顔で私を見ている不二くんと目が合ったまま、ピクリとも動けなくて……
この状況を誤魔化さなきゃいけないのに、どうしたらいいか分からなくて、だいたい誤魔化せるはずなんかなくて、たらりと額から汗が流れ落ちる。


「どうして……」

「マコトちゃん!、待ってたよ、さ、行こうか」


我に返った不二くんが私に声をかけかけた瞬間、男の人が私の元に歩み寄る。
あ、はい、おじさま、そう慌てて笑顔を作ると、腕を絡めてレジへと向かう。


「もしかしてさっきの男の子、知り合い?」

「いいえ、まさか……おじさまこそ、なにかお話してませんでしたか?」

「いや、落し物を拾ってもらっただけだよ」


チラリと視線だけ振り返ると、不二くんはまだ驚いた顔で私を見ていて、そんな不二くんに、ごめんなさい、そう心の中で謝罪する。


でも良かった、不二くんと話をせずに済んで……
今、話をしてしまったら、きっと全て台無しになってしまうから……


私の決心も、英二くんを守る目的も、なにもかも……


ごちそうさまです、そう会計を済ませた男の人に、笑顔でお礼を言って店を出る。
すごく美味しかったです、そう心にもないことを言ってまた笑う。


「……じゃ、そろそろ、行こうか?」


少し声のトーンが低くなり、肩へと腕を回される。
抱え込まれるような体制に、ゆっくりと身体を預ける。
大丈夫……私ならできる……
ほんのちょっと、我慢すればいい話……


「今度は、私が、たっぷりお礼をさせていただきますね……?」


出来るだけ妖艶に見えるように上目遣いで見上げると、その男はますますいやらしい顔をみせた。

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