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【テニプリ】闇菊【R18】

第99章 【マコト】




「こんな高そうなお店……いいんですか?」

「もちろん、構わないよ、マコトちゃんが喜んでくれるなら、おじさん何だってしてあげるから」

「すみません、おじさま、ありがとうございます」


連れてこれらたのは、高級そうなフランス料理のお店……
私もこの手のお店には、両親に連れてきてもらったことがあるけれど、けっして気軽に入れるところではない。
それをこんな、数時間、買っただけの見知らぬ高校生と来るなんて……


嬉しい、そうまた気持ちとは裏腹な笑顔で嘘をつく。


「マコトちゃん、本当に上品だねー、マナーもしっかりしてる……なんでこんなおじさんと付き合ってくれるの?」

「それは……おじさまがとっても素敵だからじゃないですか」


はは、口がうまいなぁ、そうだらしなくニヤけるその人に、本当ですよ、なんていい気にさせながら、メインのお肉を口へと運ぶ。


美味しくない……
ううん、本当は美味しいはずなんだけど、味が感じられない……


でも、そんなの、当たり前……
こんな嫌な気持ちで何を食べたって、美味しいはずなんかないもの……


全く美味しく感じられない食事を美味しいと言って食べて、全く嬉しくないのに嬉しいって作った笑顔を見せて、この後、気持ち悪いのに気持ちいいって演技して、この人を受け入れなきゃいけない……


食事を終えてホテルに移動する前、化粧直しに入ったお手洗い……
鏡に映ったいつもより濃い化粧の自分の顔……


こんなの、私じゃない……!
蛇口を全開にしてその化粧を洗い流したい衝動に駆られる。


だけど、すぐさま重なる英二くんの笑顔に、グッとその衝動を抑えた。


大丈夫……ちゃんと出来る……
英二くんのためなんだから、私ならちゃんと……


「おじさま、お待たせ致しまし……た……」


笑顔で席に戻った瞬間、一体何が起こったのか分からず顔を固まらせる。
そこには、なぜかしっかりと正装した不二くんが、あの男の人と話をしていた……

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