第98章 【プレゼント】
「……失礼ですけど、ご年齢は?」
「あんた、本当に失礼な子ね、女性に年齢聞くなんて……まぁ、いいわ、33よ」
33……と言うことは、英二くんを産んだのは、まだ16歳のとき……
想像はしていたけれど、ショックだった。
もちろん、生理が始まれば、女は小学生だって妊娠できる身体になる。
まだ未熟ゆえ、色々なリスクが大きすぎるけれど……
「……では、英二くんを手放したのは……」
「あぁ、捨てたのは20歳になってすぐよ。全く、もう少し前だったら、顔も名前も報道されずに済んだのにねー……」
この人には、罪悪感というものがないのだろうか……
いや、あったら、こんな発想には、なるはずないんだけど……
まだ幼い英二くんは、それでもこの人をひたすら愛して、ただ精一杯に愛情を求めて……
なのに……この人は……
「あんたが泣くことないでしょ?、なんなの?」
その声に自分が泣いていることに気がついた。
英二くんの気持ちを思ったら、悲しみとか怒りとか、虚しさとか、次々と複雑な感情が押し寄せて……
英二くんは、あれからずっと、苦しみ続けているのに……
何度も目の当たりにした英二くんの発作……
苦しそうに胸を抑えて、涙を流しながらうずくまる……
グイッと拳でその涙を拭うと、キッと目頭に力を入れて、その女の人の顔を見る。
「それで、本題に入ってください。頼みたいことってなんですか?」
「ああ、そうね……、小宮山さんにやってもらいたいことがあるのよ」
英二くんの本当のお母さんは。フーっとタバコの煙を私に吹きかけると、ニヤリとまた歪んだ笑みを浮かべる。
「今度の28日にね、ここである人と会ってほしいのよ。それですべて理解できると思うけど?」
目の前に差し出されたのは駅裏にあるホテルのパンフレット。
それは、以前、不二くんとプラネタリウムに行ったときに、英二くんに連れられて行ったところ……
そう言うこと……
英二くんの本当のお母さんの言うとおり、それですべてを察してしまって……